レースの舞台裏で
安全と勝利を支える
エンジニア
製品設計
H.Sさん

エムケーカシヤマが3社目

お生まれはどちらですか?

御代田町の軽井沢寄りのところです。物心ついたぐらいのときからモノ作りが好きで、幼稚園のころから中学生ぐらいまで、よくプラモデルを作っていました。作ったのは、ガンダムとかオートバイとかいろいろです。あと、祖父が精密機械を製造する工場をやっていて、その設備とかもいじって遊んでいました。だから、技術系に行くのは、最初から決まっていたようなものです(笑)。御代田の小・中学校に通ったあと、小諸の高校に行き、大学は諏訪の諏訪東京理科大に進みました。大学卒業後は、東御市にあった主にブレーキ関連の製品を作っていた自動車部品メーカーに就職して、9年ほど勤めました。そのあと、ブレーキを踏んだときに出る「キキー」とか「ブブー」といった異音のことを「ブレーキ鳴き」というんですが、それに興味をもつようになって、丸子町(現・上田市)の別の自動車部品関係の会社に転職し、車のクラクションホーンなどの、音の解析や音の原理について研究していました。

どのような経緯でエムケーカシヤマに移られたのでしょうか?

「音の原理」の研究が3年くらいで目途が立って、このまま続けていても面白くないなと思っちゃったんですよね(笑)。そうしたら、ちょうどそのとき、エムケーカシヤマでブレーキキャリパーというブレーキパッドの動きを制御する部品の開発をしようとしていて、それができる技術者を探しているという話を聞いたので、面接に行ったんです。その結果、すぐに採用が決まって、入社ということになりました。だから、ずっと自動車関連部品開発の道を歩いてきて、エムケーカシヤマが3社目ということになります。

技術に100%はないからこそ「筋を通す」

転職されて、エムケーカシヤマの印象はどうでしたか?

転職して中途入社する人は、「今度の職場の雰囲気はどうかな」、「自分は受け入れられるかな」などといった不安があると思うんですけど、エムケーカシヤマはとても歓迎ムードで安心しましたね。社風なのか、佐久という地域の特性なのかはわからないですが、すぐに溶け込めました。それで、入社直後から製品設計に配属され、ブレーキキャリパーの製作がはじまりました。それまでの会社では基本的に、一般の人が運転する車の製品を作っていたんですが、エムケーカシヤマではWinmaXというレーシングカー向けの製品ブランドでの開発でしたので、そこは大きく違いましたね。レース用の車は、一般の車とはブレーキを踏む力も違いますし、タイヤも違うし、そもそもブレーキの構造から違っているので、それゆえの難しさと面白さがあります。

エムケーカシヤマの製品の特徴はどこにあるとお考えですか?

当社ではいろいろな製品を作っているので一概には言えないですが、WinmaXのレース関係の製品に限って言えば、網羅している車種が多いので、さまざまな車に適合しやすいところですね。ブレーキパッドの会社はたくさんありますが、そこはエムケーカシヤマの特長だと思います。

製作したブレーキキャリパーが実際のレースで使われるところは観られますか?

スーパー耐久などの大きなレースですとYouTubeのライブ配信があるので、WinmaXのブレーキキャリパーを使っている車がレースに出ているときは、ちょっとヒヤヒヤしながら観ています。もちろん当社の製品には自信をもっているんですが、おそらく技術者なら誰でもそうだと思うんですけど、「100%大丈夫」ということはないとも感じている。テストは何度もやっていますし、私自身もテスト走行に立ち会っていますが、本番では何が起こるかはわからない。だから、車がピットインしたり止まったりすると、「ブレーキキャリパーのトラブルかな?」といったことを、つねに考えてしまいます。ブレーキ関連は、トラブルがすぐ死亡事故につながるので気が抜けません。

ブレーキキャリパーの開発設計は、ある程度見通しがつきましたか?

いや、まだ全然ですね。「音の原理」の研究のときは、先にもお話ししたように3年くらいで目途が立って飽きちゃったんですが(笑)、ブレーキキャリパーは、やらないといけないことが山積みで、当分飽きそうにないです。あと、ブレーキキャリパーからは離れますが、油圧をかけたときのピストンの動き出しのコントロールを、もっと確実にする方法はないかということにも、いま関心が向いています。それから、もう少し全体的な話でいうと、今後は設計の改良にあたって特許になるような新しい知見をどんどん見つけていきたいですね。ただ、特許を申請すると技術が公になってしまうので、他社にまねられてしまう危険性もある。その辺の板ばさみは、技術者あるあるです(笑)。でも、他社から目をつけられるぐらいのものを開発しないといけないと考えています。

仕事をする上で心がけていることはありますか?

「筋を通す」ということですね。自分の設計に対して妥協したくないですし、製品を売ったあとも、なにか不具合があったら、その場しのぎではなく、すぐにしっかり対応するということを心がけています。やはり、ブレーキ関連は命にかかわる重要な部品ですので。それと、その製品を使っている人のことは、つねに意識するようにしています。使う人が気持ちよく使えることが一番大事ですし、自分の開発した製品を使ってくれた人が喜んでくれるのが一番うれしい。どんなに性能がよい製品だったとしても、実際に使う人が使いにくかったら意味がないので、技術者の自己満足で設計して、作って終わりではいけないと思っています。

福利厚生が充実してきたエムケーカシヤマ

プライベートは、どのように過ごされていますか?

車とバイクが趣味で、ちょうど去年、新しい800ccのバイクを買ったので、ちょくちょくツーリングに行っています。今年は鳥取まで行きました。あと、プライベートでも車やバイクを整備するのが好きですね。ほかでは、冬になるとスノーボードをやっています。よく行くスノーボード場は菅平です。

これまで入社されたのは、すべて長野県内の会社なんですね。

はい、地元で働きたいというのが一番にあるので、県外の会社に勤めようと思ったことはないです。最初に入った会社で1年ほど新潟県にいたことがありましたが、それ以外はずっと県内に住んでいます。いまも御代田に住んでいて、佐久まで通っています。もともと人込みが嫌いなので、都会で働きたいとか、暮らしたいという気持ちがまったくないんですよ。長野県は、のんびり過ごせて静かなのがいいですね。いなかのほうが車やバイクの運転も気持ちいいですし。

近年のエムケーカシヤマの福利厚生の充実は、どのように感じていますか?

私個人は、もとから働きやすい職場だと感じていたので、とくに変化を意識することはありませんが、働き方も多様化しているなか、さまざまな制度が整うのはいいことですね。最近ですと、育休制度やパパ育休制度なども充実してきていますが、当事者にとってはたぶんありがたい制度だと思うので、全体的に、いい環境にはなってきているのは間違いないです。

筋道を立てて人に説明できる能力

今後、どのような若者にエムケーカシヤマに入ってきてほしいですか?

これからの製品設計では3D CADが主軸になってくるので、それは使えるようにしておいたほうがいいですね。あとは、気持ち的な面では、やる気があればそれで大丈夫です。ただ、もっと言えば、「この会社を自分が変えていくぞ」くらいの意識をもって入ってきてくれるとありがたい(笑)。つまり、自主的に動ける人ということですね。エムケーカシヤマはそれなりに歴史のある会社ですが、「これまでこれでうまくいっていたから、このままでいい」という考え方では、会社に未来がない。だから、若い人にどんどん変えていってほしいです。

新しいことをするには、どのような能力が必要でしょうか?

なにかを改革しようと思ったら、そのことについてきちんと理屈を立てて、人に説明できる能力は必要ですね。たんに情熱だけではなにも変えられないですし、組織というのは一人でいくら頑張っても変えられるものではない。だから、「なぜそうした方がいいのか」、「どうしてそうしないといけないのか」ということを、ちゃんと筋道立てて説明ができて、多くの人を納得させないといけいない。これは、どんな会社に入っても同じだと思います。もうひとつだけ個人的な希望をつけ加えると、新卒の若い人だけでなく、私のように中途入社でも働きやすい環境ですので、そういう人にもたくさん入ってきてほしいですね。エムケーカシヤマでは中途採用にも広く門戸を開いているので、興味があったら、ぜひチャレンジしてみてください。